糖尿病患者の妊娠・出産は胎児への影響がありリスクが高くなります。
糖尿病と妊娠・出産の関係について知る前に、2つのパターンがあるということを理解しておく必要があります。
どちらの属するかで、危険性や対策が異なってきますので、自分がどちらのパターンにあてはまるのかを確認しましょう。
まず、もともと糖尿病をもっている人が妊娠・出産に臨む事を「糖尿病合併妊娠」と呼びます。
他方で、元々は糖尿病にかかってないけれども、妊娠したことで糖尿病が発覚した人、そして妊娠によって糖尿病を発症した場合の事を「妊娠糖尿病」と呼びます。
名前は似ていますが、全く別物ですので、混同しないようにきちんと区別して理解する事が必要です。
それでは、それぞれの危険性と対策法を解説します。
まず、残念ながら2つのパターンのいずれも健康な人に比べると妊娠・出産のリスクは大きくなります。
たとえば、合併症の悪化や、妊娠中毒症などのトラブルが起こりやすくなるのです。
羊水過多症、尿路感染症、流産、早産の危険もあります。また、血糖値が高い状態が続くと赤ちゃんが大きくなりすぎてしまいます。
4000g以上の巨大児になると難産になりやすく、新生児仮死の危険もあります。
さて、妊娠糖尿病の人は、出産後は正常値に戻ることが多いのですが、改善されない場合、いずれは糖尿病になる可能性もありますので注意して下さい。
出産後も定期的に、血糖値を測定することはとても大切です。それでは、どんな場合に妊娠糖尿病になるのでしょうか。
家族に糖尿病の人がいる、肥満、あるいは妊婦が35歳以上の場合はリスクが大きくなります。
ただ、幸いなことに妊娠糖尿病は比較的軽症で済みます。
そのため、運動療法や食事療法などの治療に取り組めば出産に問題はありません。
運動は、体重管理のためにも必要です。
ウォーキングなど無理なく続けられる運動が適しています。
食事は、決められたカロリーを摂取るようにしましょう。
カロリーを取り過ぎることは肥満につながりますのでよくありません。
ただ、血糖値が高い場合はインスリン療法が必要になります。
なお、インスリンは胎盤を通過しませんので、赤ちゃんには全く影響がありません。
一方、糖尿病合併妊娠の場合は妊娠から、出産まで血糖値を正常化させることが必要です。
妊娠してからではなく、妊娠前から血糖値を正常に保たければなりません。
そして、前述の食事療法、運動療法、血糖値をコントロールするためのインスリン注射が必要になります。
妊娠中から出産まで、医師の指示に従って過ごしましょう。
そうすれば、糖尿病であっても健康な赤ちゃんを出産することは可能です。
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